リスボンに降り立つと、駅やレストラン、住宅、教会の床・壁・天井など、いたるところに「アズレージョ」と呼ばれる美しく絵付けされたタイルの壁を目にします。
アズレージョとは、ポルトガル・スペイン地方で生産されていた、釉薬(うわぐすり)で装飾されたやきもののタイルで、南欧の強い日差しにぴったりの華やかなオレンジや青や黄色といったあざやかな色彩とデザインが特徴。
今日はアズレージョの旅に出かけてみましょう♪
アズレージョは、ポルトガルのいたるところで楽しめるタイルアート
上記のとおり、アズレージョはポルトガルであればどこででも見ることができるので、ポルトガルの建築の大きな特徴にもなっています。
壁や天井などの大きな面積のアズレージョによくみられるのは、複数のタイルを組み合わせた一枚の大きなタイル絵画。その絵の内容は、ポルトガルの歴史や文化を表現していることが多く、その迫力や美しさにしばしば目を奪われてしまうほどです。
アズレージョはポルトガルの歴史を語る
ポルトガルのアズレージョは、もともとアラビア世界の技術のひとつとしてスペインを経由して15世紀頃に輸入されたイスラム文化がベースです。琺瑯(鉄とガラスを混ぜて作られた焼き物)に草や花などの幾何学模様のデザインが単色の釉薬で色付けされている「アラブ風」で、ポルトガルでは建物の壁や床に覆うように敷き詰めました。
これには、南欧の暑く乾燥した日差しからうまれる輻射熱(ふくしゃねつ)を、壁や床をタイルで覆うことによって少しでもひんやりとさせるといった知恵もあるようです。
たしかに、真夏の暑い日に、ひんやりとしたタイルの床に寝そべっている猫や犬っていますよね。
16世紀頃には、スペイン、フランドル、イタリアから焼き物師らがポルトガルにきて、ルネサンス期に発達したスペインのマジョリカ焼き技術を伝えたことにより、タイル自体に直接色をつけ多彩色化に成功したとされています。
これによって、多くのタイルアーティストたちが絵画のようなタイルを製作することが可能になりました。作品のテーマは、なんといってもポルトガルがイスラム世界からキリスト教世界に奪還された当時の背景をうつすかのように、ギリシャ神話や聖書の重要な場面、そしてポルトガルの歴史的事件や治世者の功績など。
アズレージョはポルトガルの歴史に大きく関わってきているんですね。
また、キリスト教教会の祭壇正面に飾られる祭壇布のデザインを真似た祭壇前飾りをアズレージョで作るのもポルトガル風。タイル文化が発達した国ならではの風景ですね。
ルネサンス期を経て大航海時代に南米大陸に進出したポルトガルでは、植民地だったブラジルから大量のアズレージョ発注依頼があり、17世紀後半から18世紀初頭は文字通りアズレージョの黄金時代が到来したと言われています。
様々なタイル作家が活躍し、バロック様式やジョアニネ様式などがうまれました。
来客をもてなすために、人物画のタイルパネルを玄関や階段の踊り場に設置したりというのも、ポルトガルらしいですね。
その後、産業革命から現代にいたるまでは、手間のかかるタイルから安く大量生産できるタイルが生まれたり、アール・ヌーヴォーやアール・デコといったデザインを取り入れてみたり、と、ポルトガルのタイルはその長い歴史の中でも流行や技術をたくみに取り入れながら、発展してきているんですね。
ても興味深いですね!
リスボンでおすすめ☆アズレージョを堪能できるスポット
というわけで、ポルトガル全土にわたって興味深いアズレージョがたくさんありますが、今回は首都リスボンに絞ってアズレージョを堪能できるスポットをご紹介しましょう。
国立アズレージョ美術館(Museu Nacional do Azulejo)
出典:http://www.museudoazulejo.gov.pt/en-GB/ExploreMNAz/Restaurant/ContentList.aspx
教会を改装してアズレージョの美術館にしたとだけあって、歴史的価値の高い傑作ともいうべき絵画タイルがたくさんあります。
アズレージョ好きにはマストアドレス。リスボンの中心地から行くにはバスで行くといいでしょう。疲れたら、アズレージョの壁タイルが美しい併設のカフェで一休み、もすてきなアズレージョ探索のひとつ。
Rua da Madre de Deus, nº 4 | 1900-312 Lisboa
http://www.museudoazulejo.gov.pt/en-GB/default.aspx
サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ教会(Igreja de São Vicente de Fora)
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ修道院
白亜の大理石の教会。ポルトガル最後の王朝プラガンサ家の菩提寺です。
王家の菩提寺とあって、回廊や階段といった内装の壁いたるところに豪華なアズレージョが。まさにフォトジェニックな教会です。青のアズレージョと白の大理石のコンビネーションの美しさは必見です。
Largo de São Vicente, 1100-572 Lisboa
インテンデ広場(Largo do Intendente)
出典:https://www.lisbonlux.com/lisbon/largo-do-intendente.html
地下鉄インテンデ駅からほど近い広場です。ここはもともと駐車場として使われていたスペースを再開発し、連なる建物に美しいアズレージョを施したアズレージョスポット。雰囲気の良いオープンカフェが並び、かわいいお土産やさんもあります。
モラエスの生家(Casa de Moraes)
このモラエスの家では、なんと日本語で描かれたアズレージョを見ることができます。ポルトガルの作家で日本に住み、約100年前に日本で亡くなったヴェンセスラウ・デ・ソウザ・モラエスの生家の壁には、日本語とポルトガル語で碑文が描かれたアズレージョが埋め込まれています。
日本から遠く離れたリスボンで、日本が恋しくなる一瞬かもしれません。
Trav.da Cruz do Torel 4
https://www.jtb.co.jp/kaigai_guide/western_europe/portuguese_republic/LIS/107323/
ロージャ・ドゥ・デスコーブリメントス(Loja dos Descobrimentos)
出典:http://loja-descobrimentos.com/tiles/two-tiles/
せっかくポルトガルでアズレージョを堪能するのであれば、自分でも作ってみたい!というあなたは、この陶器やさんでアズレージョの絵付け体験にチャレンジしてみましょう。鳥や花などの数種類の下絵の中から選ぶのもよし、自分でオリジナルのデザインを描くのもよし。
絵付けは数十分で終了しますが、焼き上がりに数日かかるので、事前にメールで予約しておくことをお勧めします。
出典:http://loja-descobrimentos.com/work-shop/
Rua dos Bacalhoeiros, 12 A 1100 – 070 Lisboa Portugal
http://loja-descobrimentos.com
おわりに
いかがでしたか。
実際に現地でアズレージョを見ると、ポルトガルの強い日差しの中でのアズレージョの美しさや壮大さに感動します。町なかの住宅にもすてきなアズレージョはたくさんあるので、ぜひぜひアズレージョ探検に行ってみてくださいね。
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Writer: Nobuyo Kobayashi
DESIGNERS’ FRIDGE Official Partner
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