スペインのアルハンブラ宮殿といえば、歴史の教科書にも出てくるスペイン史の重要なスポット。
この美しく荘厳な宮殿は、数々試練にも耐えしのいだ歴史があり、スペイン観光スポットの中でも屈指の注目度を誇ります。
今日はアンダルシア地方のアルハンブラ宮殿を旅してみましょう♪
もともとはイスラムの城塞だった!アルハンブラ宮殿
アルハンブラ宮殿(la Alhambra)は、スペインの南部、アンダルシア州グラナダ県にある世界遺産に登録されている歴史的な城塞・宮殿です。
城塞というだけあって、中に、王族の宮殿のほかに軍隊、行政、といった国の政治に必要な施設があるほか、住宅、厩舎、学校、墓地、庭園、モスク、浴場、といった人の生活に関係する「街」の機能も充実していました。
実際に数千人が居住する城塞都市だったんですね。
そういえば、グラナダっていう地名にうっすら記憶があるあなた・・アレです!アレ!
世界史の中でスペインのカトリック勢力が「レコンキスタ(国土回復運動)」によってイスラム勢力からグラナダを奪って国土を取り戻した・・という事件の際に、アルハンブラ宮殿がセットで出てきたかと。。
そう、アルハンブラという名前からも想像がつくように、名詞の最初に「アル」がつく単語はアラビア語から派生した言葉が多いです。(ちなみに、アルコールとか、アルゴリズムとか、アルカリとかもアラビア語派生ですね!)
もともとアルハンブラ宮殿のあるグラナダ地方は、8世紀〜15世紀の数百年のもの間、イスラム勢力のものだったのでした。
皮肉なことに、このアルハンブラ宮殿が大きく拡張されたのは、レコンキスタが活発になった時代。カトリック教徒の攻撃から守りを固めようと、水道を設置しインフラを整え、塔や宮殿、門を増築していきました。
しかし、その努力もむなしく、1492年にアルハンブラ宮殿は陥落し、イスラムのナスル朝は滅亡。レコンキスタの終了とともに宮殿はスペイン側へと渡ります。
モスクは教会へと変えられ、カトリック教徒のための礼拝堂や修道院が建築されましたが、この当時世界随一のレベルを誇ったイスラムの建築様式は素晴らしく、多くが破壊をまぬがれ現代まで残されました。
レコンキスタという国土を取り戻すという観点からみたら、イスラムの要素を持ったアルハンブラ宮殿は徹底的に破壊されて作り変えられてもおかしくなかったはず。それなのに、いまだに美しく残されているというところに、スペイン人が芸術的価値をこの宮殿に見出し、畏敬の念を持って大切に管理してきたことがわかります。
また、スペイン人にとっては「取り戻した国土」の象徴のアルハンブラ宮殿ですが、かつての支配者側のイスラム圏の人々から見ると、アルハンブラ宮殿は「かつてのイスラムの栄光を今に伝える遺産」。双方にとっても幸せを感じられるレガシーで居続けるところが、アルハンブラ宮殿の最大の価値なのではないかと思います♪
アルハンブラ宮殿に行ったらぜひ見ておきたいスポット
アルハンブラ宮殿は、城塞都市であるがゆえに広大で、しかも見所がたっぷり。大きく分けるナスル朝宮殿、アルカサバ、ヘネラリフェの3つのエリアに分かれます。
宮殿内には見学ルートが示されていますが、なにせ広いので適当に行くと回りきれなくなるのが難点。全体を網羅するのであれば推奨のルート通りに見学してみましょう。
見所の多いアルハンブラ宮殿ですが、今日は特におすすめポイントをご紹介します♪
カルロス5世宮殿
カルロス5世宮殿は、イスラム勢力を追い出した直後に時の権力者カルロス5世の指示で建てられた「ヨーロッパ仕様」の宮殿。
外観はゴツゴツとした正方形の建物ですが、中に進むとアラびっくり!正方形の外観からは想像もつかない円形の中庭が待っています。
当時のヨーロッパの中心であったイタリア建築の手法がとられたこの建物は、スペインにおけるイタリア様式の最高傑作の建物と言われています。ちなみにいまだ未完成。
コマレス宮
<出典>https://ja.wikipedia.org/wiki/アルハンブラ宮殿#/media/File:Spain_Andalusia_Granada_BW_2015-10-25_17-22-07.jpg
「ザ・アルハンブラ宮殿」といえばこの中庭ですね。教科書や資料集でもおなじみの中庭です。
水面に映った宮殿の回廊のあまりの美しさに、うっとりします。
ライオンの中庭
ライオン宮は、かつての王の居住スペース。
イスラム時代はここは王以外男子禁制のハーレムでした。う〜ん、エキゾチック♪
ライオンの中庭には、12頭のライオンの像が水盤を守る噴水があります。かつては、水を噴くライオンの数で時間を表す水時計だったそうです。
もちろん、宮殿の中はゴージャスな漆喰とタイルの芸術で埋め尽くされています。
リンダラハのバルコニー
<出典>https://ja.wikipedia.org/wiki/アルハンブラ宮殿#/media/File:Lindaraja_window,_the_Liones_Palace,_Alhambra,_Granada.JPG
ライオンの中庭から二姉妹の間の奥へ行くと、リンダラハのバルコニーから中庭を眺めることができます。どうですかこの絶景・・・・!見事なレリーフ(彫刻)とタイルでできた中庭。思わずため息が出てしまいますね。
階下のリンダラハの中庭は、幾何学模様に整備されたガーデン。すっきりと美しく整備された中庭の緑が、この建物群をより美しく見せていると実感するようなすてきな空間です。
アセキアの中庭
<出典>https://ja.wikipedia.org/wiki/アルハンブラ宮殿#/media/File:Patio_Acequia_Generalife_2012.jpg
ヘネラリフェは別名「水の宮殿」。王族たちが夏をここで過ごしたとされる離宮です。
水の宮殿というだけあって、一番の見所ポイントはアセキアの中庭。50mほどの細長い池と噴水の庭園が美しく、有名です。
ここに来るまでの景色も素晴らしく、歴代の王家の華やかな生活がしのばれます。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
スペインが誇るアルハンブラ宮殿。
時代に翻弄されながらも、今なお世界最高峰のイスラム建築群として君臨しています。
見所を絞ってじっくり見学するもよし、ルート通りにくまなく回ってもよし。
いずれにしても、すばらしい景色と芸術に酔いしれること間違いありません♪
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Writer: Nobuyo Kobayashi
DESIGNERS’ FRIDGE Official Partner