すすめ!ベルリンのキュートな信号アンペルマン

ベルリンを歩いていると、道のいたるところで出くわすアイツ。
そう、信号機です。ベルリンの80%以上の信号機のサインが、こんなキュートなデザインだって知っていましたか?

また、2019年現在、この信号機デザインは、ベルリン以外にもリューベックやシュトゥットガルトなどの都市でも採用されていて、見ることができます。

今日はデザイン大国ドイツで抜群の人気を誇る、旧東ドイツ生まれの信号機「アンペルマン」をご紹介します。

アンペルマンとドイツの歩み


<出典>https://www.ampelmann.de/en/a-brand-with-a-history/

今でこそ、道路の信号機のサインは緑色と赤色の電気式の信号機が当たり前ですが、世界初の電気式の信号機は今から約100年前の1914年にアメリカで誕生しました。

ドイツの首都ベルリンに初めて信号機が採用されたのは1924年。ベルリンでもっとも交通量が多く、事故の多いポツダム広場に設置されたそうです。

私たちは普段、信号機のある生活に慣れてしまっているので、信号機がない時代のことを思い浮かべるのは難しいですが、世界中の道路の進行を守っている信号機がまだ生まれてたった100年程度だなんて、ちょっとびっくりですね!

第二次大戦後、東西の2つの国に分かれたドイツ。

1961年に東ドイツの交通心理学者が、歩行者向けの信号機を考案。「すすめ」と「とまれ」のサインには、歩行者の注意を惹きつける帽子をかぶったかわいらしい人形の男の子が使われました。

「すすめ」は、帽子をかぶって元気よく歩き出す青の男の子。
「とまれ」は、両手を横いっぱいに広げて立ちはだかる赤の男の子。

このわかりやすい男の子のサインは「アンペルマン」(アンペルはドイツ語で信号灯)と呼ばれ、長らく旧東ドイツの交通安全を担っていましたが、1989年のベルリンの壁崩壊で状況が一変します。


<出典>https://www.ampelmann.de/en/a-brand-with-a-history/

1年後の1990年に旧東ドイツが旧西ドイツに編入した、いわゆる「ドイツ再統一」時に、旧東ドイツで使用していたアンペルマンをやめ、旧西ドイツで採用されていた信号機をドイツ全土で使用することになりました。

しかし、長年旧東ドイツで愛されてきた小さな男の子に、親しみを感じてきた旧東ドイツの人々。信号機のサインとしても優れたデザインであったことから、「アンペルマンを救え!」という運動が起こりました。

一時は消滅しかけたアンペルマンの信号機ですが、根強いアンペルマンのファンのおかげで撤去を免れ、ベルリン州の正式な歩行者信号機として存続することができました。

というわけで、今日もアンペルマンは体を張って道ゆく歩行者をサポートしているんです。

なんと女の子も!アンペルフラウもがんばります


<出典>https://ja.wikipedia.org/wiki/アンペルマン#/media/ファイル:Traffic_light_-_female_(aka).jpg

ながらく旧東ドイツで活躍していたアンペルマンですが、ドイツ再統一後にアンペルマンの女の子バージョンが誕生しました。

その名もアンペルフラウ。フラウはドイツ語でお嬢さん、という意味です。

三つ編みのおさげの女の子がアンペルマンと同じように「すすめ」と「とまれ」を教えてくれています。アンペルマンも一緒に働く同僚が増えて、きっと心強く思っていることでしょう!

ベルリンといえば!アンペルマングッズが大人気

<出典>https://www.ampelmann.de/en/shops-cafes-and-restaurant/

アンペルマンは、どことなくユーモアや温かみを感じる優れたデザインであったことから、時代を超えて信号機として市民の身近な存在になっていますが、一方で、ベルリンを代表するキャラクターデザインとしても大人気。

ベルリン市内に複数あるアンペルマンショップでは、アンペルマンやアンペルフラウをモチーフとした雑貨やTシャツが大人気。

アンペルマン好きなベルリナーにはもちろん、古くて新しいベルリンのセンスを感じさせるお土産として、世界中の観光客からも愛されているんですよ。

AMPELMANN Unter den Linden Flagship Store
住所:Unter den Linden 35 10117 Berlin
WEB:https://www.ampelmann.de/en/shops-cafes-and-restaurant/flagship-store-unter-den-linden/

<出典>https://www.ampelmann.de/en/shops-cafes-and-restaurant/shop-at-the-kudamm/

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Writer: Nobuyo Kobayashi
DESIGNERS’ FRIDGE Official Partner