イタリアのヴェネツィアといえば、きらきらと繊細な光を放つヴェネツィアン・グラスに興味を持っている方も多いことでしょう。
ヴェネツィアン・グラスの特徴は、鉛を含まないソーダ石灰からできており、細やかで高い装飾性があります。一つ一つが昔ながらの職人手作りの吹きガラスですが、空中で拭くことによって極薄で独創的な形やデザインに仕上がるので、非常に芸術性の高いガラス製品です。
ヴェネツィアン・グラスの始まりは、13世紀ごろ。
当時ヴェネツィア共和国は、地の利を生かして地中海での海運業に力をいれ、当時の世界の最先端の技術を誇っていた中東の産物を輸入し、それらをヨーロッパ諸国に輸入するという東西貿易で力をつけていきました。
その輸入していた産物の一つに中東産のガラス製品があったわけですが、当時、ヨーロッパではガラス製品は珍重されていたため非常に高価な商品でした。そこにヴェネツィア共和国は目をつけ、自国生産を目指して、優れた技術を持つ職人をムラーノ島に集め、工房を作り、ムラーノ島内での生産を強要しました。このため、ヴェネツィアン・グラスのことを、ムラーノ・グラスとも言います。
当時、高度な技術の流出は国家にとっても損失となったため、ムラーノ島の職人はその家族に至るまで、いわばとらわれの身でした。島から逃げ出す職人には罰を与えたといいます。
このように門外不出の技術やデザインの進化を通して発展していったヴェネツィアン・グラスは、今なおイタリアが誇るガラス工芸のブランドとして君臨しています。
ヴェネツィアン・グラスを買う前に知っておきたいこと
<出典>https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴェネツィアン・グラス#/media/File:Venetian_glass_goblet.jpg
現地でのお土産としても人気の高いヴェネツィアン・グラス。そのため街の至る所で売られています。ネームバリューが高いが故にムラーノ島の工房などで販売されている作家の作品や商品はものすごく値が張ります。大きなものだと日本まで郵送もしてくれます。街のお土産やさんやスーパーなどではかなり安いものもあります。
ここでは、ヴェネツィアン・グラスを後悔しないで買うためにも、購入前に知っておきたいことをご紹介しますね。
<出典>https://www.abatezanettimurano.com/products/set-bicchieri-brocca-flair-azzurri
本物のヴェネツィアン・グラスを見極める
実は、ヴェネツィアで売られているグラスがヴェネツィアン・グラスかというと、そうではないのです。土産物屋などで売られている赤や青のガラスの金の縁取りのあるグラスは、でチェコ製のボヘミアン・グラスに金彩を施したものがほとんど!
そのグラスが気に入っていればそれはそれで購入してよいと思いますが、ヴェネツィアン・グラスを買いたいと思っている方は、本物のヴェネツィアン・グラスかどうかチェックしてみましょう。本物のヴェネツィアン・グラスは、形が独特でレースガラスなど繊細な模様が入ります。
品質や価格の相場を知る
ヴェネツィアン・グラスはヴェネツィアのいたるところで売られています。もちろん、品質や価格はピンキリ。しかし、ホテルのツアーなどでムラーノ島のガラス職人の工場に訪れた場合、その場の雰囲気に飲まれて高価なヴェネツィアン・グラスのセットを思いがけず買わされたという人が多いのも確か。
もちろん、気に入って購入したいということであれば問題ありませんが、不要なトラブルを避けるためにも、まずは、ヴェネツィア内のいろんなお店のいろんな商品を見て、品質や価格の相場を事前チェックすること。
ホテルのムラーノ島へのツアーは便利ですが、ツアーに入らずとも自分の足でムラーノ島に行き工場見学はできます。
値段がピンキリな商品だからこそ、後悔のない、あなただけの一品を見つけてくださいね。
ヴェネツィアン・グラスでできた製品
それでは、代表的なヴェネツィアン・グラスを使った製品を見ていきましょう♪
グラス
<出典>https://www.originalmuranoglass.com/tableware-glassware-and-accessories/drinking-glasses-murano-sets.html
持ち運びから考えて、比較的お手頃ですね。お値段も安いものでは5ユーロほどからあるので、比較的買いやすい商品であると言えます。
お気に入りのグラスをみつけてくださいね。
アクセサリー
<出典>http://www.muranomillefiori.com/category-s/1890.htm
ヴェネツィアングラスのビーズを使ったピアスやネックレス、リング、ブレスレットが人気です。
アンティークなビーズからカラフルでモダンなビーズまで、デザインも様々。
女性へのお土産で喜ばれること間違いなし。
パヒュームボトル
<出典>https://harrisonshouston.com/shop/accessories/venetian-glass-perfume-bottle/
ヴェネツィアン・グラスでできた繊細で艶っぽいデザインの香水ボトルは、使うたびにゴージャスな気分に浸れそうですね。ラグジュアリーな旅の思い出に。
お皿
<出典>https://www.le-noble.com/d/s/product_info/620009514211/
棒状のガラスを短く切って並べ、断面を皿状にカットすることでカラフルで華やかなガラスの器が出来上がります。お菓子のお皿もおいしそうだし、飾り皿として飾ったら素敵ですよね。職人の高度で繊細な技術が光る一品。
ボトルの栓
<出典>http://www.venetianglassart.com/Black-and-White-Zanfirico-Murano-Glass-Wine-Stopper-La-Fenice_p_512.html
ワインボトルのコルク栓の代わりに、色鮮やかなヴェネツィアン・グラスのボトル栓を使うのっておしゃれですよね。
イタリアワインと一緒にヴェネツィアン・グラスのボトル栓もセットにしたら、ワイン好きな方には喜ばれそうです。
おわりに
いかがでしたか。
ルネッサンス時代、ベネツィアン・グラスの名声はヨーロッパ中に響き渡り、ヨーロッパ中の貴族たちがこぞってベネツィアン・グラスを買い求め、一種の社会的ステータスとなっていた時代がありました。
職人にとって過酷だった時代は過ぎ去り、ムラーノ島では代々職人の技法が脈々と受け継がれ、その技術や価値を伝え続けています。
伝統の価値、本物のクオリティを、ぜひベネツィアン・グラスから感じ取ってみてくださいね。
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Writer: Nobuyo Kobayashi
DESIGNERS’ FRIDGE Official Partner