江戸からかみ

江戸からかみとは、主に東京の江戸川区、練馬区、文京区で作られている伝統工芸品です。和紙の上に美しい装飾を施すことによって作られており、主に襖や屏風などとして使用されます。今回はそんな江戸からかみについて詳しく解説していきます。

由来・歴史

江戸からかみの歴史はとても長く、平安時代頃にはじまったと伝えられています。中国から伝来した「紋唐紙」を参考にし、作られたのがから紙です。当時は和歌を詠むための詠草料紙として高い需要がありました。その後も屏風、襖などにも使用されるようになり、江戸時代になると江戸のまちづくりが発展したことに伴いからかみの需要もますます伸びていくことになりました。

また、この需要に伴い、からかみの発祥の地でもある京都から職人たちが江戸へと移住し、需要急増の対処をしました。江戸からかみは京からかみの技法がルーツとなっていましたが、職人たちは江戸からかみならではの表現技法を確立していき、現在の江戸からかみへと繋がっています。

その後、第二次世界大戦時に江戸からかみは衰退しますが、その文化的価値がみなおされ、今では現代風にアレンジされたモダンなデザインの襖や壁紙、封筒をはじめとした文房具なども販売されており、人々の日常を彩っています。

特長

江戸からかみの特徴として、多彩で豊富な種類の文様や、草花などの伝統的かつ洗練されたデザインなどが挙げられます。武家をはじめ高貴な身分の者のみ使用することができた文様から、庶民が着ていた着物の柄からつくられた下町情緒あふれる紋様まで、様々な模様があります。

また、江戸からかみは様々な技法で作られてきました。唐紙師が手作業で刷り上げる木版手刷り、破れにくいな伊勢型紙と刷毛を使用する更紗師や、金箔や砂子を使用する砂子師が、それぞれ競い合って各々の技術を高めあい、江戸からかみの発展を広げていきました。

作り方

江戸からかみの作り方について、JTCO日本伝統文化振興機構ウェブサイトから抜粋してご紹介致します。詳しく知りたい方はJTCO日本伝統文化振興機構の公式サイトをご覧ください。

江戸からかみの加飾【かしょく】の技法の中心は、唐紙師の技術の展開であり、和紙に刷毛【はけ】で顔料や染料を引き染め(具引き地【ぐびきぢ】、縦横【たてよこ】の縞模様・格子【こうし】の丁子【ちょうじ】引き等)した上に、文様を摺ります。
模様を彫った木版の凸部に、篩【ふるい】とよぶ独特の道具を使い、雲母粉【きらこ】などの顔料と糊をまぜた絵具を移し、版木の上に和紙をのせて、手の平で撫でて文様を写しとるものであります。
これが狭義の江戸からかみでありますが、江戸は巨大な人口をかかえるとともに火災が多かったので、木版だけでなく、かさばらない渋型紙を用いて加飾するふすまの更紗師【さらさし】も増え、さらに金銀箔【きんぎんはく】を平押し、または砂子【すなご】にして和紙に蒔く砂子師【すなごし】も、からかみの装飾に加わってきます。

これら唐紙師・更紗師・金銀箔砂子師の三つの加飾技法をもって、「江戸からかみ」と称するようになりました。
京のからかみは、唐紙師の技法のみで加飾される狭義のからかみであるのに対し、「江戸からかみ」は、唐紙師・更紗師・金銀箔砂子師の三つの加飾技法で作られる、広義のからかみということになります。

出典:JTCO日本伝統文化振興機構

いかがでしたか?

東京の江戸川区、練馬区、文京区で作られている伝統工芸品、江戸からかみについての特集でした。様々な技術者によって切磋琢磨された江戸からかみならではの伝統の模様や美しさはとても魅力的で、ホテルの装飾や家の内装、日常使いできる文房具など様々な場面で使用されています。興味のある方はぜひ一度お手に取ってみてはいかがでしょうか。