越前和紙

越前和紙とは、福井県越前地方で作られている和紙です。1500年以上もの長い歴史を持ち、独特の触り心地や生成り色が特徴的な高品質な越前和紙は、岐阜の美濃和紙、高知県の土佐和紙とともに日本三大和紙に数えられており、2017年に重要無形文化財に指定されました。今回はそんな越前和紙について特集します。

目次

由来・歴史

日本の和紙の歴史の正確なはじまりに関して、はっきりとはわかっていません。日本に紙が持ちもまれたのはおよそ4~5世紀頃だと伝えられており、その頃に越前和紙も作られていたと伝えられています。

長い歴史の中で、越前和紙にまつわる伝説も残っており、5世紀末頃岡太川上流に美しい姫が訪れこの川の水は綺麗だから紙漉きを行うよう村人たちに言い、紙漉きの技術を伝えたのだそうです。

村人たちが名を訪ねると、女性は名を告げず、ただ岡太川の川上に住んでいるとだけ言い残した後、消えてしまいました。村人はこの女性を川上御前と呼び、紙の神様として岡太神社に祀り、崇め奉りました。このような伝説の残る越前和紙は、時代の流れとともに一般に広く普及し発展していきました。福井藩の藩札や、技術革新によって大量印刷が始まる前のお札などは越前和紙で作られていました。

種類

奉書紙

上質な楮を使用して作られる上質な和紙で、公文書など重要な場面で使用されてきました。

局紙

明治頃、紙幣の紙を作るために開発された耐久性に優れた紙で、印刷がしやすいのが特徴です。

鳥の子紙

すべらかな手触りとクリーム色の色合いがまるで卵の殻のような特徴を持つ和紙です。

壇紙

ごつごつとした肌触りが特徴的な和紙です。紙の原料の質感をより感じやすいです。

書画用紙

書道の書画用紙も、越前和紙で作られています。

特長

越前和紙の特徴として、紙の中ではかなり高い強度を持っていることや、格式の高い場面で使用されるなど高品質で品のある和紙であること等が挙げられます。かつてお札や証券は越前和紙で作られていたことや、現在では卒業証書など、大事な式典やシチュエーションに合わせて様々な使い方ができます。

機械で大量生産される通常の紙が持ち合わせていない味や手触り、気品などを感じることができる工芸品です。越前和紙の持つ丈夫さは通常の紙より優れており、越前和紙を使用したドレスやペーパークラフト、傘など幅広い商品が作られていることからその高度な耐久性が伺えます。また、越前和紙の繊維によって湿度を程よく保ってくれるため、カビや結露を防いでくれるなどの利点もあります。

作り方

越前和紙の作り方について、JTCO日本伝統文化振興機構のサイトから抜粋してご紹介致します。詳しく知りたい方はJTCO日本伝統文化振興機構の公式サイトをご覧ください。

まず越前和紙の主な原料となるのは楮、三椏、雁皮といった樹木を使用します。ネリにはノリウツギやトロロアオイを使いますが、漉く紙の種類に適したものを使います。混ぜて使用することもあります。

次に紙漉きの工程ですが和紙の生産工程は実に多く、基本となる8つの工程、それに和紙の種類・職人の一手間から来る追加工程からなっております。これら工程は古くから伝わるものであり、また長い年月のうちに創意工夫されたものであるため、これらの工程を実に忠実かつ丁寧に行うことによって、和紙本来の美しく滑らかな和紙を作ることが可能になりました。

この生産工程は、『煮沸』、『叩解(こうかい)』、『抄紙(しょうし)』の大きく3段階に分けられます。『煮沸』とは繊維質を抽出しやすくするために原料を加熱処理すること、『叩解』とは繊維質をたたいて分解すること、そして『抄紙』はその繊維をもとに紙を漉いていく作業になります。

出典:JTCO日本伝統文化振興機構

いかがでしたか?

福井県越前地方で作られている伝統的な和紙、越前和紙についての特集でした。1500年と言うとても長い歴史を持ち、高品質で美しい越前和紙は、はじまりにまつわる伝承が残っていたり機械で大量生産される紙では表現できない上品さや独特の趣深さを持っている個性的な伝統工芸品です。興味のある方はぜひ一度お手に取ってみてはいかがでしょうか。

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