伊賀焼

伊賀焼は、三重県伊賀市で作られている伝統工芸品です。耐久性に優れた粘土を使用し作られる伊賀焼は、土や自然の風合いを感じさせる焼き物です。壺や花器をはじめ、土鍋やコーヒーカップなど日用使いできる製品も多く作られており、古くから多くの人々に愛用されています。今回はそんな伊賀焼についてご紹介していきます。

由来・歴史

伊賀焼の歴史は今から約1200年ほど前に農民が日用品として焼き物を作り、使用していたことから始まります。1584年に筒井定次という人物が国主となり、筒井伊賀と呼ばれる茶器が生み出されたり、次に国主になった藤堂高虎という人物が藤堂伊賀を生み出したりして、伊賀焼は大いに発展します。

1669年に原材料である陶土の採取が禁止されてしまい、伊賀焼の生産量が落ち込み、徐々に衰退してしまいますが、江戸中期に入ると伊勢国津藩の藩主であった藤堂高嶷という人物の命で瀬戸の陶工から技術を持ち帰り、再び日用品が生産されるようになり、伊賀焼は復興を遂げます。

その後、1982年になると伊賀焼は国から伝統工芸品として指定され、現在も人々の生活を支える日用品として支持されています。

特長

伊賀焼の特徴は、非常に頑丈で火に強い特性を持っていることや、素朴さや自然、材質の質感をそのまま感じさせる特徴的な見た目などが挙げられます。伊賀焼に使用される陶土は熱に強く、土鍋や耐熱食器の制作に向いています。

高温で繰り返し焼き上げられることにより、器が引き締まり非常に耐久性の高い製品が生み出されます。また、伊賀焼は信楽焼と似ているため度々比較されますが、「伊賀に耳あり、信楽に耳なし」とよく謳われるように耳と呼ばれる持ち手が付いているか付いていないか、という違いがあります。

また、伊賀焼はガラスのようなビードロと呼ばれる美しい天釉も特徴的なものです。薪から出る灰が高温で溶かされることによってガラスのようになり、天釉が生まれます。伊賀焼は、伝統的な茶器や花瓶、壺などの製品以外にも、土鍋や耐熱性マグカップなどニーズが高い製品も販売されており、日常で使用するのにぴったりな伝統工芸品です。

作り方

伊賀焼の作り方について、JTCO日本伝統文化振興機構ウェブサイトから抜粋してご紹介致します。詳しく知りたい方はJTCO日本伝統文化振興機構の公式サイトをご覧ください。

土練り

粘土を練ってもみます。土を均一にするために「荒練り」と、空気を抜くために、菊の花びらのひだができるように練る「菊揉み」を行います。

成形

『手作り法』、『形成形法』、『ロクロ成形法』の3つの異なった成型方法に分かれます。

半乾燥

空円で、生乾きの状態にします。

仕上げ1

カンナなどを使用して形を整え、絵付けをします。

 完全乾燥と素焼

自然乾燥で、作品から水分を十分になくしたあと、約700℃の窯で焼きます。

仕上げ2

素焼した作品の上に、鉄、コバルト等で絵を描きます。その後、釉薬をかけます。

本焼成

約1,200~1,300℃の窯で焼きます。

完成

窯がさめてから作品を窯出しします。
早く窯から出すと割れる場合があるので、十分に注意します。

出典:JTCO日本伝統文化振興機構

いかがでしたか?

三重県伊賀市で作られている伝統工芸品、伊賀焼についてのご紹介でした。恵まれた環境で採れる高品質な陶土で作られる伊賀焼は、繰り返し焼かれることによって耐久性に優れ火に強く、土鍋や耐熱皿として大変人気の高い魅力のある伝統工芸品です。

興味のある方はぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。