大阪浪華錫器とは、大阪府大阪市製造されている錫製の器のことです。1983年に当時の遺産大臣から伝統工芸品に指定されました。錫は非常にさびにくい特徴を持つため、現在でも皿やカップなどの食器類は人気が高く、タンブラーなどモダンな製品も販売されています。
第二次世界大戦前には300人以上の職人がいたと言われていますが、大戦がはじまると職人が戦争に行ったり材料が手に入らなくなるなどの理由で、大阪浪華錫器の産業は一時衰退してしまいます。しかし、このような困難を乗り越え今ある大阪浪華錫器に至ります。
由来・歴史
7世紀初め頃に遣隋使が日本に錫器を持ち込み広めたと言われており、奈良正倉院に錫器でつくられた壺や亀が保管されています。この当時、錫器は金や銀と並ぶほど貴重品で、大切に扱われていました。日本における錫器の生産は京都の丹波ではじめておこなわれました。江戸時代中期になると心斎橋、天神橋、天王寺などで生産が行われ、発展していきました。
大阪は錫器製造業者が多く集まる場所となり、大阪浪華錫器はその地位を確かなものにしました。昭和所初期にはその人気ぶりはピークを迎え、大阪では300人を超える職人が在籍していました。
その後、第二次世界大戦をきっかけに、大阪浪華錫器は衰退していくことになります。徴兵により職人がいなくなり、材料も不足したため生産は困難を極めましたが、1983年に当時の経済産業大臣により大阪浪華錫器は再評価され、伝統工芸品に指定されました。
特長
大阪浪華錫器に使用される錫器は、錆びにくいという特徴があります。変色が起こりづらいため、美しい色や光沢を長く楽しむことができます。使い込めば使い込むほど味が出て、柔らかく独特な雰囲気への変化を楽しむことができます。金属ですので長年使っていれば光沢が徐々に曇っていきますが、アンティークのような雰囲気が出てまた違った面を楽しむことができます。
光沢を取り戻したければ、メラミンスポンジなどでこすると輝きが戻ります。また、大阪浪華錫器には陶器に比べて熱の伝わりやすさが違うため、比較的温めたり冷やしたりしやすいという特徴を持っています。飲み口を美しく磨き上げなめらかに仕上げているため、独特の口当たりを楽しめます。
作り方
大阪浪華錫器の作り方について、大阪錫器株式会社と大阪府のサイトから抜粋してご紹介致します。詳しく知りたい方は大阪錫器株式会社と大阪府の公式サイトをご覧ください。
鋳造
錫を溶かし、液体になった錫(湯と呼びます)を型に流し込んで必要な形に作り変えます。
ろくろ削り
鋳造で作ったものを、ろくろを使って形を整えます。
焼き合わせ
熱したこてで上下に分けて作った部品を、共付け溶接で接合させます。
ロウ付け
ロウ材という錫よりも低い温度で溶ける金属を接着剤にして、そそぎ口と持ち手の基部を取り付けます。
絵付け
塗り残しや薄い部分がないように注意しながら絵の具で模様を描いていきます。
くさらし
酸に浸けることで錫の表面を侵食させて凹凸をつくります。絵付で描いた場所は侵食されないので一段もり上がり、豊かな風味が生まれます。
漆塗り
くさらしでできた凹みに漆を塗りこんでいきます。
仕上げ
余分な漆をふき取り全体のつやを出します。
いかがでしたか?
大阪府大阪市の伝統工芸品、大阪浪華錫器についての特集でした。食器や入れ物などたくさんの製品が販売されていますが、特に飲み物の器は飲み口がなめらかにみがきあげられ独特の飲み口を楽しむことができるためおすすめです。熱も伝わりやすく、また逆に冷やしやすくもあるため、お酒などを楽しむのにもってこいの器です。ぜひ、おひとつ購入されてみてはいかがでしょうか?