豚革・ピッグレザー: 墨田区のエシカルな革素材を知ろう

豚革の生産量日本一は墨田区

馬や牛などの動物の革製品って、なんとなく海外から輸入される高級な素材だとか、海外ブランドでよく使われているってイメージがありませんか?日本は革製品に使うための原皮の多くを海外からの輸入に頼っていますが、実は唯一豚だけは海外からの輸入に頼らずそのほとんどを日本国内で生産しています。江戸の伝統受け継ぐ、どことなく懐かしさを感じられるまち、墨田区。日本で生産される豚革の約9割がここ墨田区で生産されています。

海外では高級ブランドにも使用される日本の豚革

日本では革製品と言ったらまず牛革をあげる人が多く、好んで牛革製品を買い、愛用する人がたくさんいます。せっかく国内産で製品をつくることが可能な豚革の知名度は、牛革の人気に比べるともうすこし認知度があってもいいのに、と少々もったいなく感じちゃいますよね。

ヨーロッパをはじめとする海外では、高級素材として扱われることもある豚革。誰もが一度くらい名前を聞いたことのあるあのハイブランドだって、豚革を使うことがあるのです。墨田区産の豚革はそのクオリティの高さを評価され、ハイブランド商品に使用されることもあるほどなのです。

豚革のメリットって?3つの豚革の特徴

・毛穴が三つの特徴的な見た目
・優れた通気性
・サラッと軽い手触り

豚の毛穴はとても特徴的で、三つのまとまった毛穴が開いています。このように他の動物にはない独特の特徴があるため、他の革製品と比べて通気性はかなり優れています。通気性が良いとカビが生えにくくなるといったメリットがあります。命あるものの素材を使う上でどうしてもカビなどが生えたり、傷んだりしてしまうデメリットは避けて通れませんが、豚革はその通気性から梅雨の間でも安心して使用できます。

また、豚革の触り心地は、さらっとくどすぎない手触りです。豚の皮は牛の皮などに比べるとかなり軽く、柔らかいため比較的柔軟に加工しやすいという特徴があります。軽さや通気性、肌触りのよさから、シューズ、靴のインソールなど直接肌に触れる部分の製品に加工されたりもします。

豚革はサステイナブル?

豚革はその多くが食用に加工する際に出た副産物であるため、サステイナブルでエシカルな素材です。海外では豚は皮まで食べる国が多い一方で、日本では豚肉の消費量は多いが皮はあまり食べる文化がないため、多くの副産物としての豚原皮が生産されるのです。日本国内で生産量のほとんどを国内のみで賄える素材や食材はあまりないですが、豚の皮は大量に余るので唯一国内で供給がいきわたる貴重な革素材なのです。

さて、豚革をつくるためにはこの豚原皮をなめす必要があるのですが、そのなめし方は主に二つに分けられます。

・クロムなめし
・タンニンなめし

時代とともに移りゆく豚革のなめし方法

クロムなめしは従来のなめし方法で、その名の通りクロムという名の科学薬品を使用したなめし方です。発色などは色鮮やかに出て美しい豚革に加工できるのですが、環境に悪い影響を及ぼすとされ、現在では処理の制限がかけられたり、使用そのものが減少傾向にあります。

環境問題が懸念される中、タンニンなめしというなめし方が生み出されました。ミモザなど植物由来の原料のため人にも環境にもやさしいなめし方法です。ただ、クロムなめしより加工にかなり時間がかかるというデメリットがあります。また、植物由来のため雨など水には弱く、変色してしまう時もあります。

一方、タンニンなめしは革を育てる過程を楽しめるという大きなメリットがあります。使えば使うほど革が柔らかくなっていき、タンニンなめしならではの味わい深い色に変化していきます。革を愛用する人は、革製品の変化を楽しみにしている方も多くいると思います。それぞれのなめしの特徴の違いを楽しみながら、豚革製品を購入されてみるのもいいかもしれませんね。