丸亀うちわ

夏の風物詩であるうちわ。お祭りや浴衣を着た時などに大活躍の欠かせないアイテムです。実は日本ではうちわの生産量が9割を超えている県があります。それは香川県であり、国内でつくられるうちわのうちほとんどが実は香川でつくられている、ということを意味しています。

9割というとかなりの数のうちわが香川で生産されている、ということになりますが、一体なぜ香川県でうちわがたくさん生産されているのでしょうか?今回はそのような疑問や、香川で生産されている丸亀うちわについてもっと深く理解を深めるために特集していきます。

由来・歴史

丸亀うちわの歴史は江戸時代1633年寛(永10年)に四国の金毘羅参りの土産として住職が渋うちわ(男竹丸柄うちわ)というものを考え付き、そこに女竹丸柄うちわ、塩屋平柄うちわの要素が組みあわさり、現在の丸亀うちわになったと言われています。その後、うちわを生産するための工場が設立されたり、うちわ会社ができたり、海外にも輸出されるようになったりしてうちわ産業はますます発展していきます。

大正時代に入ると、脇竹次郎という人物がうちわの生産率を向上させる切り込み機と穴あけ機を発明しました。これによりうちわの大量生産が可能となり、香川はうちわ生産国として揺るがない地位を手に入れました。戦時の生産量は落ち込みましたが、その後平柄うちわが主流になり、現在でも親しまれるようになり、平成9年には国の伝統工芸品に指定されました。

種類

丸亀うちわは涼しさのためにあおぐ以外にもいろいろな用途があります。火加減の調整や料理の熱さまし、ファッションの飾りなど、使い方は多岐にわたります。そのため、用途によって形や大きさが異なり、色々な種類のうちわがあります。

特長

「伊予竹に土佐紙貼りてあわ(阿波)ぐれば讃岐うちわで至極(四国)涼しい」という古い歌が残っている丸亀では、うちわをつくるための材料が全て近くの産地(伊予/愛媛は竹、紙は土佐・高知、糊は阿波/徳島)から揃えられる恵まれた環境が、現代まで続く発展の礎となりました。丈夫な素材である竹からつくられているため、壊れにくく長持ちします。

一本の竹から職人の手によってハンドメイドで仕上げられており、夏の風物詩として定番の外せない伝統工芸品です。現在は竹から作られる丸亀うちわ以外にも、安価なプラスチック製のうちわも生産されていますが、やはり竹製の丸亀うちわの方が高品質で丁寧に作り込まれ、独特のあたたかみがあります。

作り方

丸亀うちわの作り方について、香川県うちわ協同組合連合会のサイトから抜粋してご紹介致します。詳しく知りたい方は香川県うちわ協同組合連合会の公式サイトをご覧ください。

ふしはだけ

一定の幅に割った竹の節を除き、穂になる方の内身を取る。その際、均一の厚みにしていく事が重要。

割き

「切込機」で穂先より約5cm~10cmのところまで切り込みを入れる。穂の数は32~42本で、同じ間隔で裂いていく。

もみ

上部に切込みを入れた竹を左右にひねり曲げて、竹の繊維に沿わせながら、ふしまでもみおろす。

穴あけ

穴あけ用のキリを使って、鎌を通す穴をふしの部分にあける。これは三つ目錐が用いられる。

鎌削り

切り出し小刀にて加工します。丸亀うちわの美しい曲線を表現する大切な部分。うちわの種類によって太さ、長さが異なる。

編み

鎌を通し、その一端に糸を縛り付けて穂を編む。主に白い綿の糸だが、絹糸や色付きを使用することもある。

付け

鎌・糸山が美しい曲線となるように穂を揃えながら、左右対称にして、糸をとじつける。

貼り

うちわの種類などによって「のり」の濃度を調整し、穂や地紙の必要な所に「のり」をつけ、地紙を貼りつける。

たたき

うちわの種類に応じた形の「たたき鎌」を当て、木づちでたたき、余分な部分を切り取り、うちわの形に仕上げる。

へり取り

うちわの周囲に「へり紙」と呼ばれる細長い紙を貼る。その後、「みみ」や「ぎぼし」を貼り完成。

出典:香川県うちわ協同組合連合会

いかがでしたか?

日本の伝統工芸品である丸亀うちわについての特集でした。丸亀うちわは300年以上もの歴史を持つ日本の伝統工芸品です。丈夫さや豊富な柄など、職人の手によってつくられた丸亀うちわは、夏まつりなどで持ち歩いてみたくなるほど情緒あふれる商品が多いです。安価なうちわもたくさん販売されていますが、夏まつり用や部屋のインテリアとして購入してみてはいかがでしょうか?いつもより特別な夏を過ごせるかもしれません。