江戸硝子は、主に東京でつくられている伝統工芸品で、2014年に経済産業省から伝統工芸品に指定されています。透明感があり、涼し気な雰囲気を楽しむことができる江戸硝子。
工場で大量生産できないため同じものはひとつとなく、人の手で作られているからこそ感じる独特のぬくもりがあります。技術を受け継ぐ職人によって丁寧に作られている江戸硝子についてご紹介していきます。
由来・歴史
かつて日本ではガラスのことをビードロ、ギヤマン、瑠璃などと呼んでいる時代がありました。ポルトガルやオランダからガラスが持ち込まれ、日本国内でガラス製品が作られ始めました。
江戸にガラスの製造を広めた人物は、ガラス問屋で働いていた加賀屋久兵衛と、浅草のガラス職人上総屋留三郎という人物たちです。加賀屋久兵衛は江戸切子のカット技法の発案者でもあります。二人は様々なガラス製品を世に生み出し、大変な人気を博しました。日本における硝子細工の技術は、西洋からランプが輸入したことや、発展に伴い大規模ガラス工場が設立されたことなどによりますます発展していきました。
特長
江戸硝子は熟練の職人によって一つ一つ丁寧に作られているため、全く同じ商品は2つとなく、すべて一点ものであるというのは大きな特徴です。人の手によって作られたことによる特有のぬくもりや、吹きの技術による独特のデザインも魅力的な点です。
江戸硝子は主に東京の墨田区、江東区、江戸川区で作られています。近年では伝統的な製品以外にも、時代に合わせた新しい製品も制作しており、モダンなデザインのものやタンブラー、ワイングラスなどは高い評価を受けています。
ガラスと言えば無色透明なイメージが強いですが、江戸硝子は着色によってカラフルで可愛く仕上げられている商品が多いです。贈答品としても人気があり、大切な人へのプレゼントに最適です。
作り方
江戸硝子の作り方について、東京都産業労働局のサイトから抜粋してご紹介致します。詳しく知りたい方は東京都産業労働局公式サイトをご覧ください。
吹きガラス
熱く解けた硝子種を吹き竿に巻き取り、息を吹き込んで成形する。
① 宙吹き: 硝子種を吹き竿に巻き取って、空中で吹き竿をまわしながらハシ等の道具で形を整える。炉で温めながら、成形を繰り返す。
② 型吹き: 宙吹き法に加え、木型、金型などを用いて成形する。
型押し
雄雌の両型をつくり、吹き竿に巻き取った硝子種を型に入れ、雄型で押して成形する。
出典:東京都産業労働局
いかがでしたか?
東京の伝統工芸品、江戸硝子についての特集でした。透明度が高く、透き通って美しい江戸硝子の製品はとても芸術的で、江戸時代から脈々と受け継がれてきている技術をもちいつくられる江戸硝子は、どこかぬくもりを感じることのできる魅力的な工芸品です。
数ある日本の伝統工芸品と比べると、比較的安価で購入しやすい点も嬉しいポイントです。淡い指し色がかかったお皿やコップを食卓に並べれば、日々の生活がより彩られ明るくなることでしょう。興味がある方はぜひご購入されてみてはいかがでしょうか。