大館曲げわっぱとは、秋田県大館市で作られている伝統工芸品です。自然の美しさを思わせる木目の模様や、木本来のあたたかみやぬくもりを感じることができる魅力のある工芸品です。
高品質な秋田杉を使用して作られており、軽いのに丈夫でなおかつ吸水性も高く、弁当箱やおひつとして大活躍の大館曲げわっぱ。今回はそんな曲げわっぱについて特集していきます。
由来・歴史
大館曲げわっぱの歴史は非常に長く、青森で縄文時代に使われていた曲げ物が発見されており、遥か昔から使用されていたことが確認されています。大館曲げわっぱは、きこりが曲げ物を作っていたことから始まったと伝えられています。
17世紀後半になると、大館城主佐竹西家という人物が、住民の貧困を改善させるため下級武士たちに副業として曲げわっぱを作ることを推奨しました。その結果、大館曲げわっぱの産業の一つとして発展していくことになりました。
その後も曲げわっぱの技術は脈々と受け継がれ、高度経済成長期に入ると金属製やプラスチックが一般に広まると、曲げわっぱの需要は減ってしまいましたが、1980年には国の伝統工芸品として指定されました。近年では大館曲げわっぱは再評価される傾向にあり、弁当箱を愛用する人々が増えたりと、再び人気を取り戻しています。
種類
大館曲げわっぱの主な材料
- スギ
- ヒノキ
- ヒバ
接着部分
桜や樺の皮
特長
大館曲げわっぱの特徴は、天然の秋田杉によって作られることで木のぬくもりやあたたかみを感じさせる素朴な美しさ、木のほのかな香り、軽さと丈夫さを兼ねそろえている点などが挙げられます。また、曲げわっぱに使用する木材は吸水性があり、お弁当箱などの製品においてはごはんやおかずが傷みにくいといった利点があります。
お弁当箱につめられたごはんなどの湿度を程よく調整してくれるおかげで時間が経ってもふっくらと柔らかく、べちゃっとしていない美味しいごはんを食べることができます。その他、自然の木目が生み出す美しい木目なども、大館曲げわっぱの大きな特徴の一つと言えます。秋田の地は大変寒く、大館曲げわっぱの原料である秋田杉は、通常よりも長い時間をかけて成長していきます。時間をかけてゆっくりと成長するため、木目が均一になり大館曲げわっぱの材料に最適な材質へと成長していきます。
大館曲げわっぱといえば代表的な商品はおひつや弁当箱などを想像する方が多くいらっしゃるかと思いますが、現代では曲げわっぱのアクセサリーが作られるなど、可愛いデザインの女性向け商品も生み出されており、日々現代のニーズに合わせ変化しています。
作り方
大館曲げわっぱの作り方について、東北の伝統工芸品サイトから抜粋してご紹介致します。詳しく知りたい方は東北の伝統工芸品の公式サイトをご覧ください。
木地造り
曲げに使用する板材は、スギの柾目板とし、仕上げ削りをすること。
「はぎ取り」をする場合は、かんなを用いてすること。
「煮沸」をした後、手作業による「曲げ」をすること。
「つま取り」をする場合は、小刀を用いてすること。
「樺縫い」をする場合は、「目通し錐」を用いてすること。
ふた、底板、取手、脚又は注ぎ口がある場合は、それぞれ、かんな、小刀又はのみを用いて成形すること。組立て
底板の「仕込み」は、「平底」、「上げ底」又は「しゃくり底」のいずれかによること。
「曲げ輪重ね」は、「鉢巻きかけ」、「帯かけ」又は「重ね合せ」のいずれかによること。
手作業による仕上げ磨きをすること。塗り
「花塗り」にあっては、柿渋に松煙を混ぜ合わせたものを塗付した後、精製漆を用いる「地塗り」、中塗り及び上塗りをすること。
「しばき塗り」にあっては、「ベンガラしばき」をし、柿渋を用いる「渋塗り」をした後、透漆を用いる上塗りをすること。木地は、スギ、ヒバ若しくはホオ又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。
「樺縫い」に使用する樹皮は、サクラの樹皮とすること。のりは、そくいとすること。漆は、天然漆とすること。出典:東北の伝統的工芸品
いかがでしたか?
秋田県大館市で作られている伝統工芸品、大館曲げわっぱについての特集でした。秋田の美しい自然の恵みによってもたらされた高品質な材質を使用して作られる大館曲げわっぱは、均一な木目の模様や木のほのかな香りなどが楽しめる魅力の多い伝統工芸品です。
興味のある方はぜひ一度お手に取ってみてはいかがでしょうか。