東京銀器は、東京で作られている伝統的な金属工芸品です。銀を材料にさまざまな商品が作り出されており、1979年には国の伝統工芸品として指定されています。東京銀器の製造は職人の手作業で行われることが多く、受け継がれてきた高度な技術も用い一品一品丁寧に仕上げられます。
世界でも有数の銀産出国であった日本で培われた東京銀器の技術は現在まで受け継がれ、多くの人々を魅了しています。今回はそんな東京銀器について特集していきます。
由来・歴史
東京銀器の歴史大変長く、916年つくられた規則集「延喜式(えんぎしき)」に銀器の記録が残っています。その後、室町時代になると西洋からの技術や日本国内で銀山が発見されたことなどの影響により、銀器の生産はますます本格的なものへと発展していきました。
江戸時代には現在の銀座にあたる銀座役所で銀貨がつくられていたこと、元禄文化の記録に銀河装飾品として好まれていたと残っていることから、江戸の市民の間でも銀製品は日常的に使われていたことがわかります。こういった時代背景があり、東京銀器は今日まで栄えてきました。
種類
「鍛金(たんきん)」
1枚の丸い銀の地金を金槌(かなづち)やアテ道具で壺(つぼ)のようにたたいて丸めて成形する
「彫金(彫刻)」
金槌と鏨(たがね)で表面に模様を打ち出したり、素材の表面を鏨で彫ったりして装飾する
「切嵌(きりばめ)」
絵柄の部分を切り抜き、別の金属を嵌め込んで装飾する
出典:台東区公式工芸品サイト
特長
東京銀器は、そのとても美しい光沢と金属特有の手触りが特徴です。銀は金属の中でも特に柔らかい特性を持ち、加工がしやすいと言われていますが、柔らかい分耐久性は弱いです。銀器に使用する銀にわずかに硬い金属(割り銀)を混ぜ合わせることによって、この欠点を補います。貴族の装飾品や仏具、市民の髪飾りや煙管など様々な銀器が生み出されることになりました。
日本製の銀器の良さは、1867年にパリで開催された万国博覧会にて界中に広まることとなりました。中国やインドでは銀が手に入りずらかったこと、海外では銀食器の需要が高かったなどの理由もあり、多くの製品が海外へと輸出されていきました。現在でも、東京の台東区などで様々な用途に合わせた東京銀器が生産されています。
作り方
東京銀器の作り方について、東京都産業労働局のサイトから抜粋してご紹介致します。詳しく知りたい方は東京都産業労働局公式サイトをご覧ください。
成形
①鍛金にあっては、地金を金鎚及び金具を用いて手作業で行い、②ヘラ絞りにあっては、地金を木型 に当て、木型を回転させてヘラ棒を用いて手作業にて絞り込む。
部品接合
銀鑞(ぎんろう)付け、カシメ又は鋲止めによる。
加飾
①模様打ちにあっては、金鎚又は鏨(たがね)を用い、②切嵌の図柄の切落し・絞金造りにあっては、糸鋸・切鏨(きりたがね)を用い手作業による。
色仕上げ
煮込み法又は金古美(きんふるび)液若しくはタンバン古美液を用いる。
ヘラ絞りで成形したものは、加飾をする。出典:東京都産業労働局
いかがでしたか?
日本の伝統工芸品である東京銀器についての特集でした。東京銀器は光沢や手触りなど、たくさんの魅力が詰まり、高度な伝統技術で仕上げられています。実際手に取ってみなければ伝わらないこともありますので、興味のある方はぜひご購入されることをおすすめします。