美濃和紙

美濃和紙は、岐阜県で作られている伝統的な和紙です。岐阜県は自然にあふれ、和紙を作る適切な環境が整っています。高知の土佐和紙、福井の越前和紙と並び、日本三大和紙の一つに数えられています。薄いけれど破れにくく、見た目も美しい美濃和紙。今回はそんな美濃和紙をご紹介いたします。

由来・歴史

美濃和紙は今から約1300年以上前、まだ岐阜の土地が美濃の国と呼ばれていた頃、その土地で作られていた紙が、現在の美濃紙の基礎となりました。美濃の国では、紙の原料に最適な楮や三椏、雁皮、水が豊富に採れることもあり、質の高い和紙を作ることができました。

当時の美濃の行政官が美濃和紙を手厚く保護し、開催される市や商人のおかげで美濃和紙は全国に行き渡るようになります。江戸時代になると、美濃の上有知港という川湊が栄え、経済の中心地となりました。江戸幕府や藩も美濃和紙を好んで使用するほど需要が高く、大変人気がある工芸品でした。

明治時代になると紙漉き業に携わるために必要な免許制度がなくなり、紙産業をはじめる人々が増加しましたが、技術革新や戦争などの影響により1000人以上いた職人は100にも満たないほど減少してしまいました。

しかし、美濃和紙の協同組合が設立されたり1985年に経済産業大臣から国の伝統工芸品指定されるなどして、美濃和紙は復興していきます。現在では、美濃和紙を使用したインテリアやアート、展覧会が開催されたりして、再び注目を集めるようになっています。

種類

美濃和紙は大きく分けて3つの種類があります。

  1. 本美濃紙
  2. 美濃手漉き和紙
  3. 美濃機械すき和紙

特長

美濃和紙の特徴は、手漉きでつくることによって得られる耐久性の高さ、他の紙と比べたときの黄ばみにくさなどが挙げられます。美濃和紙は薄く頑丈で、ムラがなく美しい高品質の和紙です。

高知の土佐和紙、福井の越前和紙とともに日本三大和紙と呼ばれていることからも、美濃和紙が最高峰の和紙であることが伺えます。また、通常の紙は使用するにつれて黄ばみますが、長く使用するほどにより白くなる利点があります。

現在は多岐にわたる現代のニーズにあわせた製品が数多く販売されたり、アート展が開催されるなどして再び人気が高まってきています。

作り方

美濃和紙の作り方について、美濃和紙の里会館のウェブサイトから抜粋してご紹介致します。詳しく知りたい方は美濃和紙の里会館公式サイトをご覧ください。

剥皮(はくひ)

楮の木の皮をむいて白い皮にします。

さらし

原料を水に浸す事によって、水に溶けやすい不純物「あく」を除き原料を柔らかくします。昔は「川晒し」といって、川の流れに2、3日 楮を浸しておきました。最近は作業場に作った水槽で行われることの方が多くなりました。

煮熟(しゃじゅく)

楮の繊維だけを取り出すために、晒された楮を炭酸ソーダを入れた大釜で2時間ほど煮ます。

ちりとり

まだ原料に残っている黒皮などのチリ、変色した部分などを、流水の中、丹念に手作業で取り除いていきます。

叩解(こうかい)

ちりを取り終わった原料を、石の板の上に置き、木槌で叩いてほぐします。途中何度か返して十分ほど叩解します。現在では、この作業は『ビーター』という機械で行われることも多くなりました。

紙すき

原料と『ねべし』と呼ばれるトロロアオイの根から抽出した液を、漉舟(すきぶね)に張った水の中に入れてよく混ぜ合わせます。次に、簀桁(すけた)という道具を使って漉舟(すきぶね)の中の液をすくい、揺ります。

圧搾(あっさく)

すき上げた紙に圧力をかけて水分を搾ります。1日間、時間をかけながら徐々に強く絞っていきます。

乾燥

一枚ずつはがした紙を特製の刷毛を使って板に貼り付け、天日で乾かします。今では、中にお湯を循環させる金属製乾燥機に貼り付けて乾かすこともあります。

選別

こうして出来上がった紙は、一枚一枚丹念に手にとって検品します。紙を光に透かして、破損、傷、チリなどの不純物があるものや斑のあるものを除き、紙の厚みも考慮して丹念に選別します。

裁断

選別した紙を特製の包丁で、用途に合ったサイズに裁断します。原料から、紙になるまで、大体10日かかります。また、原木から取れる原料の料は、約8%、紙になるのはその半分といわれるので、100キロの楮の原木から出来る美濃和紙はわずか4キログラムほどということになります。

出典:美濃和紙の里会館

いかがでしたか?

岐阜県で作られている伝統的な和紙、美濃和紙についてのご紹介でした。薄く頑丈でムラがなく美しい高品質の美濃和紙は、インテリアやランプなどモダンな製品が作られたり展覧会が開かれるなど、近年再び注目を集めている伝統工芸品です。興味のある方はぜひ一度お手に取ってみてはいかがでしょうか。